ニラ玉をふたりで食べる夜
ごめんね、左手さん
心臓の破片
いかなる愛も通じない
救われなくっても僕はここに

塔より飛来する春
羽化の山
シュロの標本
黄金と灰と細胞
生命たる言霊
還るならあなたの脳へ
ファンファーレよ鳴り止むな
流星、その身にやどす煌めきは不滅

エメラルド遊覧
微睡みのなかでさざなみ
暖かいとすこし優しくなれるの
なもなき青たちの饗宴
さみしさはあの人を鮮やかにする
封筒の角にましろの砂ひとつぶ
君に送りたいたくさんの記憶

寂寥を愛する会
想像上の筆跡は甘美
秘めたる瑕こそ美しい
若木の死体
夜にだけにみちる花
尾骨にばけものの名残
柔肌を金で接ぐ
白いねむりに蝕まれ
静謐は緑青
私はあなたを愛せたか

ことばにとどかぬ戀よ君よ
荒涼のプール
雷鳴の名手
まぼろしの漂着
四季は漂流

こころを丁寧に折りたたむ
涙と一緒に箱詰め
変身の朝は晴天
世界も二つに割れればいいのに
熱狂の底、あなたの声しか聞こえない
残酷の片割れ
記録にない存在に恋
意識を塗り替える意思
ふたたびの胎内はあたたかいか
特別な呼吸はもういらない
あなたと共には逝けないので
記念日の銀
これからの日々
だれかに贈る日記
存在のみ許されたとして
ふたりではいれなかった
特注の棺

背骨ひとそろえを聖櫃に
あまやかに不可侵
愛でやすい表皮
瞼をやさしく透かす温度
わたしをすこしだけあかくそめてね
君の傷口はいいにおいがする
心臓はあなたの手のひらを覚える

ファムファタルを知らないままで
運命なんてないと泣いた夜
選べる現実
壁越しの悪魔
幻みたいにわたしを見ないで
喋るたび薄ぺらくなる人
車内でのふたり
逃避行に向いてない
いつまで鳴るの
悲しいほど美しいのはなぜなの
いまのあなたが笑えるかを教えて
やわくてよわくて無垢だったあれは天使だった
いまはしずかに
運転できなくてごめんね
手を振る幽霊
陳腐になんかならない
足りないから祈った
空気が抜けてるみたい
心はひりつく
正答の扉
素直を願った
あくまでもすべてわたしとあなたの話

あなただとおもってたべている
背徳の影を追って
だれがその心をとかすの
強慾どものつどい
墓穴がおおきくなりすぎた
運命は卵形
油田を掘る悪魔
意識の底が干上がる
くちびるだけはあかあかと
世界の薄皮を掬いとる
あなたによって損なわれたい

深海のネクタイ
虹色の恋人
崩壊するの、そういう宿命、笑って
なだらかな城の話
サラダボウルにないしょの葉っぱ
霧の中ならばしかたない
自明の悪

等しく正しくないふたり
死さえ宝玉になる
明けなかった夜の話
魂はバグ
仮想空間にひとり
ぬくもりのないものが僕によりそう
あなたの瞳は同情に満ち満ちて
明日ほど綺麗にいられない

似てない表情
あなたのための受容体
ふたりの静寂
とある高名なスタンドアロン
喋るほどに歪む
熱量しかつたわらないので
人並みの欲
世界を変えることはきみしかしらない

真夜中の中心
絢爛に隙間風
ヴェールをどうぞ
感光する記憶
鯨と夢を行く
種族の感覚
あざやかな地層
目印は秋

あなたとおちるために手をつないだ
吐息にふれるすべて
約束しないって約束して
崩落のきらめき
呼吸する記憶
おわかれの合図
不在の鮮明
地獄未満
唇の休日

ワルツを踊るしなやかな白
箱庭のスパイ
終わらないための緻密
寄贈されたとある恋
紅茶の海で会いましょう

インターミッション、あなたにはキスを

無色透明のピラミッド
かくあるべきと光、五十八の仮面
情動、その重み
傷なき冷たさを内包している

傲然と四冠を戴くきみ

艶やかであるべき夜
ほどけたら琥珀にしまって
いろどりに満ちた影が落ち
苦い花ばかり喰む

さまよえる芸術家にニケの一対を

瞑想する指先
結晶への帰還
聖人の飼い犬

世界創造の二日目へ

メロディーメロディー、ハッピーバースディ

あのこへ、

おめでとうの輪
小指と小指にリボンでも結びましょう
花の咲かない季節に生まれたあなたに
お歌をひとつ
午前0時までの魔法使い
幸福のしるし
いちばんすき
運命を信じたくなるのはあなたのせいです

三番目の瞳

ひとつ、静寂殺人
 戯論問答、円を画く
 すべては沈黙していた
 針穴を通すような可能性をすりぬけて
 そしてここにたどり着くのだ

ふたつ、札束と花束と毒針
 鳴り止まない地獄への予感
 酒瓶とコインと駆け引きをひとつ
 花をさがす蛇
 きみの終焉をここに待つ

みっつ、つれない薄氷
 薬指の金属アレルギー
 突如私は呼吸した
 三番目の瞳
 あなたのための唯一

懺悔室からあなたへ
潮騒と沈黙
少女的潔癖
静寂は白に似る
器に満たされた幸福
神は肩をすくめる
あなたの番です
楡とノラ
夜盲
宇宙の処女膜
ゆるされた眷属
えたいのしれない裸体

神とすごした日々

神様からのチェーンメール
ギャンブルみたいな祈りですよ
あなたのような生き方
隻眼の羊
ひとりの生け贄の話

時にはきみもいなくなる
つながらないわたしたちの心
眠りに似た別れ
永遠は行き止まり
瞳に似たレンズへの微笑み
背中ばかり抱きしめた
夢の世界はきみのよう
さよならを認めて

枯れたやさしさ
ぼくもきっとどうでもいいもののなかのひとつだと
あなたがどうかどうか人にあいされますように
満ちることのない欲望
善い人だったと聞きます
さよならをゆう日のために
いま、愛に生きます

脆弱な世界

きみをせめたあの日のぼくはきえない
水たまりと、わたしの偽善
藍色の宇宙から生まれた
手のひらであたためていたものとは

人間失脚
翼を千切った男
これが君の神か
モラトリアムに傷心
群青におすまし
だれもが陰気
鬱病の神様
さようなら、はじめの動詞

双子座と七竈の夜に

十二の宵
九つの痣と陶酔の接吻
七日と八晩の逢瀬
三つ目の怪物の五つのしずく
二つの心臓と二十の真珠
一つの憎悪と四つの執着
零に纏わるタブー

いばらの埋葬

君のために薔薇はさかない
醜い男ですが
いばらの棘が紅いわけ
やさしいのばら、心ない羊
酸素に憎まれたあなた
神様も忙しい

空洞の家

去る者は決して追いかけなかったあなた
永久に巡ると信じられた四季
あなたのための新たな地平
無意味と寄り添っている
ひとつの理想と

確定予言
磔になってみたいもんだ
僕の臨終の予定
知らない人たちのワルツ
滞りなどないのです
新世界に僕はいない
きみがしぬということ

喜劇終劇

最良の嘘とは
喜劇はおわったらしい
西の空に向かって歩いていましたよ
ディナー、死体をはさんでわたしとあなた
ぼうしをとってください
鴉に花輪
オリーブの知らせ
暁にはきみがいなくなるということ
あなたの指輪、壊死してたわよ
遺書になったラブレター
だんまりは得手
溢れないで涙

世界の終わりが雨ならば
水たまりで死んだ魚
肥やしの思想
シンデレラ・シンドローム
意味を考える人々
聖職者の逃亡劇
うまないせかい
それはたえがたい癒しになろう

桜雨に佇むあなた
花傘
カーテンコールの隙間
うすあかりの嵐
涙が焦げた
白い霧の淵で
薄衣の装甲
愚か者たちのセレナーデ
私が恋する女の子だった時

地獄に堕ちそうだ

傘の中にあなたはいらっしゃいました
つまらないものなど、いかがですか
最古の落とし物
三秒キスして
あなた、おかたいのねぇ
法外の恋なんて!
どうしよう、地獄におちそうだ

鬱々とした雨を頂戴
42日間の懺悔
狂おしいほど透明な青
青田に死体
ライラック色の狂気
白の傘
濡れるにはまだ足りない

晴間

呼吸すらゆるさない怒涛
透ける心音
睫毛にとどまった水滴
やわい花蓋
そしてまた静寂
左脳の声

つめたいのは雨だけで十分です

つながる悲劇
青の嘘
橋をつくるものたち
決別の跡地
背中を這い回った不格好な爪痕
おまえが指をしゃぶるのをやめればいいのに
あたしのものだったすべてのもの
依存してみるのも悪くない
申し分のない結末
飲込んだ言葉で窒息死
さよならラッキーストライク
構想は崩れ去った、楽園の午後

夏雲でさえ彩度を上げゆく

夏が終わることに意味無く涙
わたしは喋らない、あなたは気づかない
雨のように命が降ったあの日
憂うな、駆け抜けるのだ
雨上がりの似合う君の首筋
絶望に焦燥、甘露を求め、西へ
わたしの宿命とは

タンポポ畑で内緒話を
四万八千のスポットライトに曝された歌姫
流星の軌跡はライオンの見るゆめに続く
愚かな私を呪ってしまって!
喉元を過ぎれど痺れは残る
いつしか赤に裏切られるとしても

なみだはでなかったよ

美しいひとでした
ゆりかごから地獄まで
すがりつかなかった背中
花に埋もれたあなた
五月雨と追憶者
海の絵葉書

もう変わることのないあなたへ

そして彼女は街を去る
甘露、再び
千夜一夜はもう終わり
天には召されておりません
季節外れな失踪
なにもかもおいていって
朝露が乾く頃には
次の約束

今夜も眠らない夜
排水溝に消えたあなた
夢を召し上がれ
寝る前の五つのキス
宵夢はあなたの幻にまみれて
グッナイサタデーナイト

化け物は通れません
証明の方程式が分からない
狂笑ひとつ
凍てつくふり
心臓なら在りますが
戯問
啜り泣く意味とは
理解不要な返答だった

あいしてるのはわたしだけ

あいしてあげるから、こっちにおいで
差し歯の偽善家
暖かいお部屋にご案内いたします
潔癖症のバスルーム
スープに涙
短く切りそろえたつめ先
シーツに包まった劣情
散らばった先
いまの姿をごらんなさい
プライドだけ
ジャガーの助手席
たくさんのお金、そして

本当に私のためにくれたのはキスだけでした

あいするゆえにうしなわれたすべてのものに
やさしいなみだと子守唄を
もっとも無差別な愛を
あなたのナイフが暴いた皮下への思想を
ささやかれた決意を
制動する狂気を
無愛想な別れにそえた微笑を

ハローハロー、きみのかなしい心臓

ハローハロー、きみのやさしい心臓
微笑むばかりの過去へ
鼓動をひとつおいてゆくね
ひかりのてのひら
薔薇飾りの踊り子
やまぶきいろの箱庭
寂れた愛憎
とおい栄光
ねむれない夜におまじない
ハローハロー、ぼくのかなしい心臓

咳をして僕は起きた。もう花の名は呼べない
わらいながら泣くことができない私でよかった
朝のほとりで私は死と対面する
問いかけが輪廻を超える

足下から影が消えたあの日の雨
涙の代わりになれますか
さよならをゆい忘れた
紫陽花のようなひと
傘はいりません

されどはじまりはくもりぞらのしたで
梅雨と消えたあなたへ、さよならを伝えに

初夏の終わりときみの捨て台詞
好きモノの唇
けして誰も僕を救うな
君に与えられるのは絶望だけ
私の言葉は死にました

彼女の冬眠
ふゆごもり計画
すべては冷え性の君のため!
ホットチョコレート味のキッス
ぼくはあなたの湯たんぽではありません
布団の中の悪魔

それは興味ですか

僕のことを知ろうとした君
彼女は宇宙人です
紳士はニヤリと
ぼくのプリマドンナ、空の星になった
そろそろ君の手を握ってもいいかい

もえないごみのひの白骨
ジャンキーと花畑
伝道師
噂話と土曜日のクローゼット
ナイフとナイフとナイフ(ディナータイムは静粛に!)
水槽にうつる恋
マンホールに突っ込みたい
それは毒ですよ
電柱とキッス

あなたはほんとにおてんばさん!

あのこのみみがかじられた
ほのお、とおい目にうつす幻想
終わりまで後三秒
神は自粛をするか
僕は自由に恐怖する
例えばこんな始まりだったら
柔らかな優しさに寒気がする
光の渦に巻き込まれて鮮やかさを失う
失うものと得るものの天秤
指先のみで辿る
罪と罰と君と僕の間
まだいまならひきかえせる

恋する染色体
踵と冠
証明してください
二進数における愛の表現方法

春泥棒
あなたのハートをつれてきます
いとしい不純
愛のこきゅう
花泥棒と恋のオペラ
二番目のキス
あなたを連れ去る花風に胸がいたんでも
春はそこにきたのだ
お前はうつくしい

不敵なる春泥棒に告ぐ

明露
逆光に霞んだ影はあなたでしたか
愛することにつかれたのなら
ゆれる水滴の世界
カナリアの最期
美しいから悲しいのね
あなたの白いうなじをそっと視界におさめて
楽観論者
砂漠に落とされた種は
世界で一番最初の朝焼けを見せてあげる

雨季の街

緋色の傘をさした迷子のこども
うつくしい真珠のあまつぶはどこから降っているのだろうかと
いつかのそらにかかる可視光線
それでもこの雨はあまりにもやわらかく、あたたかなのです

蝋のように冷たくなったわたしの神様
胸が痛むほどやさしく微笑んでいるので
マンホールから溢れた涙がすべてを流し去る
追悼者がみつけた痕跡

部屋の中でえずく赤いつめ先
梅雨に沈む
海の底みたいなあなたの部屋
憂鬱を背負い込む悦

あなたがないていたのかは定かではないが
わたしに恋をしていると告げたあなたは
どこまでも透明な鉱石の鋭利なきらめき
不純のない凶器
雨季の街

虹の終幕
天気雨が降れば、あたしはあなたを思い出すでしょう

君のレシピ
鍋で煮詰めた無垢の結末
傲慢すら美しく照らすのです
なめると甘い
優しい殺意と朝食を
争いあえるという平等
どこかで微笑む勝ち目
悪意の保存法
突き詰めれば炭素
真昼の密室
おおまかに断罪
吊られた翼に祈れ
感情粉末
砂糖にかわるなにかを探して
悲しみを焦がす温度
ビロードのディナー
酸性とアルカリ性の出会い
1000カラットの付加価値
許すという娯楽
君の詰め替え
味で例えるならば
愛していると云うつもりでした
最期は燃やします
再生を迎える準備を

やさしいあなたへ

ある紳士の告白
 彼の微笑みはあの怪物に似ている
 証明されない感情について
 紅茶を解する化物
 冷静な愛を

恋愛を殺人と解釈する少女
 今夜七時の運試し
 どこまでも独りよがり
 嘘も真実もおなじ温度だから
 体液におぼれて

群青雲に乗る大人たち
 比較的普通の狂気
 冷酷と云うならばそれが現実でしょう
 ロマンスの致死量
 やがて時がすべてを抱き込むとしても

羊水回帰願望の青年
 短針の無い時計が刻む時を生きる
 かえりみずな世界
 残酷の受け皿を(血肉を削り精製せよ)
 若さ青さを欲する理由

ひとり遊びが上手な子供
 甘い蜜に依存
 望んだことは許さなくていい
 キスをまつ
 幸福を掴むには柔すぎる掌

喉元にごちそうさまのしるし
もったいぶった紳士淑女
つまるところわたしは懺悔したいのです
怨み言百選
脳みそが嘘をつくんですもの
だんまりもいい加減にしなさい
パパばっかりずるい
きまりをひとつよういして
美しさの叩き売り
穿つならば鮮烈であれ
心拍の数だけ恋におちる
唾するローズマリー
対価の選定
シクラメンの横顔
うわばみが呑込める世界にて
デリバリー怨霊
闇ばかりあいてにしているもので
つめたいてで心臓にふれないで
燐光をまとってあなた妖精みたい
いいこのなみだ
あまねく温情にキスを捧ぐ
君が最後と決めた晩餐
掌ばかりに感情をためていたので
いますぐにあいせない
流刑地からのラブレター
天井の汚れを全部数え終わったら夢から覚めるの
いわなくてもいいこと
愛情は不在
意志と在れ
涙も嘘
くちびるからいただきますの儀式

ロジックと薔薇
ヴィンテージの心臓
ドライフラワー、触れてはならない
プルシャンブルーに安楽死
アネモネは享楽に散る
ペーパーナイフが切り裂く罪
ソファーに沈む死体
アロマの海に
バスタブに消えた証拠
プラネタリウムは青を孕む
アイスブルーの炎に包まれて
ノアールの神様
ピンクグレープフルーツ、破廉恥
ローズマリー、棘だらけ
ミルキーウェイ、指先でかき混ぜて
ネイティブ・ブルーと至宝の瞳
ペン先に宿る悪魔
エーテル戦争
アンドロメダと解けない魔法

夜明けはそこに横たわる
ニヒルなふりしたかわいいあなた
右手だけ冷たいの
三秒後、指先がどう動くかは未だ知れず
簡単に終わるような夜など要らない

しかし、それは失われたばかりだ
絶望の音はしたか
祈りのような欲望でした
クローゼットの中のあのこ
あいすることしかできないでしょうよ
恋の死因は疑心暗鬼

美しさが正義ではないように
あなたがねがえば時間もとまるの
世界を変えることはできませんでした
とこしえにうつくしい午後の日
ここには哀愁がつのる
信頼の出来ないすべての尺度
こころね

ドラマみたいな土砂降り
葉脈の下で逢瀬
偏屈屋の嗜好
うそなきをしているのに
たわいのない人間としての執着心
世界の胎動もきえてしまった
馬鹿にもなれない
網膜にやきつくような恋

血潮を裏切って
白雉の料理人
過去視の洞
純化する白
片目の抉れた天上人
恋知らず
余命を撫でる日々に
せいじつだった恋のおわり
牙を折っているのです
お前のための涙はないよ

わたしは神ではなかったけれど

恋は失われた
愚者も賢者もひとである
なぐさめて
真昼に視る甘美
あなたの優しさに支えられた同情でした
まぼろしも貪って
高潔を騙る
被害者としての言い分ですが
くたばれ純粋
うそです、ぜんぶうそ
窓辺でついに決壊したあなたは

あなたを赦す神になりたい
神を殺す十月

追伸 偽善者が優しいので、私はしぬことにします

白骨は遺作として
(わたしがうしなった明度の代わりに)
ゆめのなかまで愛され
(あおい水銀になって砂漠を渡るのです)
夜泣きするおとなは
(突き詰めれば狂気という純粋をいくつも内包し)
寂寥と、か細い鼻歌で潮騒を掻き分ける
(そしてあびせるようにささめく世界を点と線のみで分離す)
.
.
.
朝露にほころぶ花の気配
なんという葬列日和
海に沈む睡蓮の都
雲むこうのくに
(砂の丘、砕けたさよならをいびつにつないで)
(繰り返されるわたしがここにいる証明)

こいはなぜさめるの
終焉の産声
正しさも規律もいらなかった
渡さないし返さない
あなたはなにに誓うか
背徳にキスして
情熱とダンス、破滅とセックス
嘘にしたのは誰
エントランス、ダイニング、ベッド
嫉妬と言い訳のすべて
愛されてるとしんじています(証拠をちょうだい)
それは盲信
冷製恋愛
信じない(望まない)
罪人がながすなみだなど
嘘つきのポーズ
意味ばかり欲しがるあなた
ジャンピング・ジョーン、ドリームキッス
真昼のバスダブ
不可侵の首筋
あなたを救えない
覚めない恋

なにひとつ奪わずに消えていったあなたへ
泣かない恋がしたい
裁きをわたしに
八十億分の一の薄い鋼鉄が別つ
時が夏で止まれば
あなたはあたしのものだった

凍れる日々が手に手をとって舞い踊る
千の夜のあとはおわり
あなたのかける魔法がいっとう美しいので
燐光まうように
規律する明度
あたりまえのようにあなたの呼吸を視認できる事
氷細工の夢が熔けおちて
恍惚する眠り
静寂をしらない私たち

夜兆
駆け落ち時雨坂
豊穣の乙女、天上にて頬杖つく
その傷を美しい水が腐るまで満たそう
つまさきから凍え逝く
それはただ地に落ち、循環す
なかないあなたは雨のなか
結露からの腐食
やさしくてあまい葬雨
幸福のはざまで
潤礼者

世界中の女の子は魔法にかかる
キスしたらうつっちゃう
ワンダーワンダーフラワーシャワー
まとう香水の美しさがわかるの
つかまえてて、ぎゅっと
花嵐とゆびをからませて
裸足でここまでおいで
三月のキス
あなたは春を呼ぶ人

古い光
若草色の超新星
濃夢
妄想と数式は真空のなかで
歪む現実、暫定
宇宙恋愛
音のない口笛吹いて
次のキスで眠ろう

愛し方とめまい
下馬評だらけ
懐古主義の左手
土塊の右手
泥沼と黄金、ちいさな沓
愛し方とめまい
すいみつとうにくちづけ
弥生の頃についた嘘
此処に恋はあった訳で
網膜だけがあなたをうつす

細い頭痛
30デニールの膜越しに
矛盾のかたちをした愛憎
たったひとつのすべてについて
白状者
理知と偏屈、哲学の恋
まったくおなじ症例

プラトンの庭にて

純路
たとえばわたしがあなたを殺してしまったら
かたちばかりの心中

諭す目
やわらかい光跡は満ち足りた無の空間へ
うそつきも退屈

冷たい病
あなただけあたたかい
かなしい眩暈
睡蓮もまどろむ午後

慟哭すら枯れ果てればあとは獣
最後に笑うのは
信じていない
傷跡に牙をたてる
なみだをなめてみた

飾らない黒髪
恥じらうこともしらないのに
エゴイズムも肩をすくめる
ねつがあるみたい
傷跡も柔らかくくすぐり合えば
愛はおいしいの

シロツメクサの冠
純朴は罪知らず
少女たちのやさしい罪
手紙なら喰べてしまったよ
はちみつみたいな罪を犯そう

たわいのない惰性
やわい体温もかよわない
くちづけがすべてを隠す
指の間から垣間見た肉欲

罪と椿
うつくしいものをならべた寄る辺のないあなたの横顔
わたしはとりこ(その目は狂気)

ささやきもできないこの距離で
腕から指先と滑り落ちるだけの髪

おわりのふたり

冬には跫音がある
オリオンをゆびでつないで
花占いはできないね
雪が似合う睫毛
君の唇が紅い理由
澄みきったように冷たい君
心臓の絶対零度
つたない手で氷のパズルをとく
くらいよるに
窓枠に霜
凍えるように死んでゆきたい

春は焦らす
まどろみの目覚めをまっている
ささやきをかわすよう
ヒヤシンスの冠
世界賛歌
思い出したように近づいて、
景色は彩度を上げ
色めき立つ少女たちのように
ほほえみはパステルカラー
菜の花畑でつかまえて
ゆっくりと君の目隠しをとりさるのだ

夏の去り際は唐突で
青草にダイヴ
すいかのいびつな割れ目がわらう
四畳半の蒸した部屋、君と二人
血は沸く
空が青いのは今のうちだ
涙のスコール
光節
波打ち際に寄せられた哀愁
動かないものは腐る
そして波は去った

秋は褪せる
色彩にセピアを混ぜて
長月に涙、似合いすぎて月並み
キャンパスから逃げ出した彩度
暖色フィルター
温度をもとめ、身をあわせる
色は後ずさるように
落葉祭
鮮やかに燃えろ、あとには灰すら残らぬよう
黄昏に溺れる
君の影が伸びる、さよならが迫る


四季に贈る栄枯盛衰の44題

鮮やかだというのにあいまいなあなた
抱かれてようやっと息つく
運命は雨期とともに
永遠の描きかた
追いつかない呪いに覆われて

輝きは幽か彼方
きまぐれにはえた牙
暗がりが悔しがる
決意を隠す毛糸
声色は硬質

ささくれた心を刺され
老舗の新雪
素顔の住処
征服されざる性質
揃いの孤独を育てている

正されなかった魂
稚気と乳房
つれない唇からすべてつまびらかにして
手がかりのない掌
ときめきのとぐろ

凪ぐための涙
似通った肉の器
ぬるい恋を縫いとめて
眠りの根は深く下り
残された野分の卵

歯触りのよい破滅を食み
悲劇の日々をひた走る
冬に付随するすべて
変化する変事
頬をすべる綻び

魔法使いは満更でもない
実りゆく未知
無為つみあげて群雲
目玉の奥の女々しさ
靄越しに問答

柔肌にまとう夜霧やさしく
赦しは有限
予感には用心されたし

雷鳴のための裸体
両手でなでた稜線
瑠璃の滴をいただき流浪す
練習でも檸檬味
露骨な浪漫

我々の蒼き若葉